留学で、英語は話せるようになるのか?

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オックスフォードにて

私はイギリスのオックスフォード大学のサマースクールに、一か月留学した経験があります。

その時の話です。おそうざい屋さんで、イギリスの地元の料理である、pastyという食べ歩きできるパイを注文しました。すると、

「ホッオッコー?」

女性店員さんは尋ねてきます。全く何を言っているのかわかりません。 何度も聞き返しますが、わけがわからず「Yes.」と言うと、店員さんは苦笑いして店の奥に行き、数分経ってからオーブンで温めたpastyを手渡してくれました。

その時やっと、「Hot or cold?」、つまり「温めますか?そのままでいいですか?」と聞いてくれたとわかったのです。私は比較的英語には自信があったため、まさか自分が何の文法も含まれない「Hot or cold?」が聞き取れないとは思えず、非常に驚きました。

イギリス人は、“聞いたことのない英語”をしゃべった

なぜ聞き取れなかったのか? もちろん私のリスニング力が足りなかったのですが、それには『イギリス英語とアメリカ英語の違い』が大きな原因となっていることに気づきました。
私たちが日本で習う英語はアメリカ英語、すなわちアメリカで話され、使われている英語です。 よってリスニングで流れる音声、また教科書の音声教材もアメリカ英語であるのが通常です。

このアメリカ英語とイギリス英語、とくに発音の点でかなり異なる姿をしています。
中学一年生でアルファベットを習うとき、ひたすら「r」の発音をさせられた人、いるのではないでしょうか。

「アーと言ってそのあと舌をのどの方へ!」

だから「door」と発音するとき、「ドォ“r”」と発音するよう、言われたことでしょう。

実はこれ、イギリス人に発音してもらうと、まさにカタカナの「ドー」。
そして「Hot or cold?」の「or」も、カタカナを読んだまま「オア」って言うんです…!
“イギリス英語はカタカナ英語に近い”という事実に気づき、「なんで日本ではイギリス英語を教えてくれないんだ?!」と思った覚えがあります。

九九はいつから使えるようになった?

さて、初めは「Hot or cold?」さえも聞き取れなかった私ですが、数週間滞在すると、完璧には聞き取れなくとも、話の内容をつかめるくらいは聞き取れ、会話もできるようになってしまったのです。

もちろん、積極的に話をしたり、努力はしましたが、最も大きいのは「慣れ」でした。
毎日たくさんイギリス英語に触れる中で、最初はとっつきにくかった独特の発音も、何となく聞き取れるようになり、会話の内容をくみ取れるようになったのです。

実は、この「慣れ」というのは、皆さんも日常で体験しています。
小学校2年生で習った「かけ算」、今では当たり前のように使っていますが、元々は全く知らなかった知識です。初めて習った時に、ひたすら九九を唱えたことでしょう。
そうやって、それまで知らなかった九九を覚え、「慣れ」て、今では当たり前に使えるようになっているのです。

「知らなかった知識を当たり前に使えるようになる」その過程が「慣れ」です。

「慣れ」てしまえば、こっちのもの

確かに九九に関しては、覚えてしまえばすぐ使えます。しかし中3レベルの内容になると、やはり知らなかった知識を習ってすぐに使える状態になる、というのは難しいと思います。
例えば、英語で「不定詞とは?」を習ったとして、その日のうちにどんな問題でも不定詞に対応できるようになっていた人はいないでしょう。
でも宿題や授業でいくつもの問題に触れ、慣れて、いつの間にかある程度解けるようになっていますね。

問題が解ける人と、解けない人。

すなわち、その知識を“使える人”と“使えない人”。
その違いは、「どれだけしっかり取り組み、どれだけその問題に慣れているか」なのです。

もちろん、同じような問題に何度も取り組むのは決して楽なことではありません。それが勉強の大変なところ、そうかもしれませんね。しかしその過程は、「自然に解けている自分」への道の途中なのだと意識してみてください。
これから英語でも数学でも、新しく習う問題が待っています。それを「解ける人」になるためには、初めての知識を習ったとき、そこでいかに踏ん張って練習できるか、それがカギを握っています。たくさんの課題を出されて「量多すぎ!」と嫌気がさしたとき、「やらされている」と思ってしまわないよう、このコラムを思い出してもらえると、幸いです。

リングアカデミー講師 河野 有妃子